゙ピンポーン"
チャイムの音に嬉しそうに杏が玄関に走っていく。

今日は杏の四歳の誕生日会。

「はい、杏ちゃん。
ご希望のケーキだよ」

「やったー!あおちゃんありがとう!!」

葵ちゃんが、杏の好きなテレビのキャラクターでケーキを作ってきてくれた。

「ごめんね、葵ちゃん。
無理させちゃって」

「ううん、大丈夫。もう安定期入ってるからちょうどいい気晴らしにもなったし。」

葵ちゃんのお腹には双子の赤ちゃんがいる。
つわりもひどく、切迫早産で入院もしていたが、杏のためにと誕生日ケーキを焼いてきてくれた。

杏は葵ちゃんのケーキが見たくて
「ママ、見せて見せてぇ」
と私の足にまとわりつく。
「ダメ!あとでね。
ロウソク立ててフーってやるときまでのおたのしみだよ、杏」

杏はしょんぼりして葵ちゃんの隣にいくと、そっと葵ちゃんのお腹に手をおき

「 あおちゃんの赤ちゃんはもうすぐでてくるの?
赤ちゃん出てきたら杏がミルクあげるの!
杏がいっぱい遊ぶからねあおちゃん」
とニコニコしている。