「なんか今隼人くんが聞き捨てならないこと言ったけどどういうことかな。説明してくれるかな渉。
それに隼人くん!」

冷ややかな笑顔を浮かべた歩がとてつもなく恐ろしい……

ふざけんなよ!服部ーっっ!!

(俺が悪いけど)余計なこと言いやがってーっっ!!

しどろもどろに、冷や汗をかきながら二人で説明すると歩は一言

「最低ーっっ!!」

と俺に冷たい視線をむける。

「酔った女の子に手ぇだすなんて
マジありえない!!
隼人くん!ごめんね。
こんな最低なヤツと親戚になっちゃって…」

「いや、あの、その、俺こそごめん、坂口、、、」

項垂れて涙目の俺に、服部先生もしょげて謝るがもはや手遅れだ。

「渉は私が退院するまでここには出入り禁止だから!
杏に会うのも触るのも禁止!」

「いや、ごめん、歩!」

「…少し頭を冷やしてしっかり反省して!!


……隼人くん…麻美ちゃんこのこと知ってるよ?」

「えっ?」

「まえにみんなで飲んだときにちらっと言ってた。
隼人くんが優しい嘘をついてるから気づいてないふりをすることにしたって。

酔って寝ている麻美ちゃんに手を出すような人じゃないのに、自分のせいにして優しすぎて堪らなく大好きになったって。

なんか、ほんとに隼人くんらしくて相変わらず優しいよね」


そうだ。ほんとにこの人は優しくて懐が広い人なんだ。

あの時のことは…本当に二人には申し訳ないことをしたといまだに心が痛む。

「アユ、今はこいつはめちゃめちゃお前が大好きで仕方ないけどさ、麻美を本気で好きで自分のものにしたい時があったんだよ。

てもそれはもう過去のことでもう終わったことだからさ。

杏が生まれた時に号泣してたろ?こいつ。
ったく、自分の勤務先で恥ずかしいやつめ。

まっそれだけ嬉しくて杏とアユが大事なんだよ。

許してやれ」

そう言い残して病室を出ていったが、俺たちの間には気まずい空気が流れていた。