目の前に座っていた葵も笑いながら話し出す。

「学生時代もモテてたけど、ドクターになっても相変わらずだったんだね。

実は私もね、クラっときた時があったんだよ?」

目の前の葵の思いがけない告白に大きく目を見開き固まった。

「えー?
葵さんて晒名先生の幼馴染みで先生の初恋の人ですよね?
なんですかぁ、その楽しそうな話。
親友二人で取り合っちゃったんですか?」

恵ちゃんが目をキラキラさせて葵の話に食いついた。

「佐久間くんがね、学生時代によくうちのお店にケーキを食べに通ってきてたの。
いつも幸せそうにショートケーキ食べててね。
ちょっとだけ、虎太朗から目移りしかかったかな」

「うっ」

私のグラスをあけるスピードが上がる。