「週末だけ、ここのステージで踊る二人がいる。
゙SAKURA "どMOMO "

坂口、ベリーダンスって見たことあるか?」

ビールですっかり顔を赤くした木下がニヤリと笑う。

「いや、見たことはないが、あの腹だしたアラビアンナイトにでてくるような衣装だよな?」

「あー、そんなかんじか? わりと露出度高い衣装だよな。でも、エロいっていうよりは、目を奪われる綺麗で優雅な舞い…かな。」

店の照明が少しおとされ、エキゾチックな曲が流れ出す。淡いピンクのシフォン生地を見にまとい、濃いピンクの大きなシルクの布を優雅にはためかせ、二人の女性が現れてゆっくり舞いはじめる。

漆黒の艶やかな長い髪、妖艶に微笑む彼女と視線がぶつかる。

腰から脇腹に入れられたタトゥー。
それぞれ桃の花と桜の花。

妖しく綺麗で優雅に舞う…食べることも飲むことさえも忘れ、彼女たちから目が離せない。

いや…彼女から目が離すことができない。

桃の花のタトゥーをほどこした彼女はずっと俺に視線を向けたまま妖艶に舞い続けた。