「ほんとに困った先生ねぇ。
高橋さん、こんな子供みたいな人と結婚したら苦労するわよ?
本当に服部先生でいいの?」

師長の言葉に、私は満面の笑みを浮かべ答える。

「私が先生じゃないと幸せになれないんです。
だって服部先生が大好きなんです私」

「だそうですよ?服部先生。
さぁしっかり仕事してください。
いつまでも不貞腐れてると外来どころか内科に異動させますよ。

高橋さん患者さんやドクター受けいいから他の科から欲しがられてるんですよね。」

師長の言葉に先生はすくっと立ち上がると、絶対に離さないと言わんばかりに、また私を白衣の中に閉じ込めた。

「はぁ。もぉわかりました。
外来にもいかせません。
病棟にいさせますから。
先生から高橋さん取り上げませんから。
ほんとに服部先生は高橋さんがそばにいないとだめなのねぇ」

ため息をつく師長に先生はにっこり笑い、私を腕の中から解放する。

甘すぎてヤキモチやきの先生に私は今日もドキドキする。

「先生、白衣をきて仕事している姿、カッコよくて大好きです」

耳元でこそりと囁くと

「しょうがないな、仕事するか」

と大きく伸びをする。

「でも今日、昨日頑張りすぎたのに朝も煽るから腰かいてーんだよな」

ニヤリと笑う先生の言葉に私の顔は一瞬で真っ赤になり、二人のイケメンドクターが肩を揺らして笑っている。


相変わらずの日常が今日も始まる。

大好きな人たちに囲まれて、私は今日も元気に仕事する。

師長がそっと近寄り、私の首筋にカットバンを貼ってくれた。

「先生、見えるところは控えてあげてください。
高橋さんが先生の溺愛彼女なのは院内では有名なんですから大丈夫ですよ」

と苦笑いしつつ

「大変な人に好かれたわね」

と同情され、赤くなった顔はしばらくおさまることはなく、そんな私を見て、先生は目を細め満足そうに笑っていた。