親父とのやりとりにおろおろする歩に向き合い頭を下げた。

「ごめん、歩。
子供…俺は勝手に歩のダンサーとしての仕事を奪っちゃったよな。
早く家族を作りたくてごめん」

歩が大きく首をふり、涙が溢れる。

「謝らないで。
私も欲しかったから…私たちの赤ちゃん。

お義父さん、お義母さん順番が逆になり申し訳ありません。

それに…

お医者様の渉さんには不釣り合いな相手で申し訳ありません。
でも、私渉さんが大好きなんです。渉さんと幸せになりたいんです。

結婚させてください…赤ちゃんを産ませてください。
お願いします」

お袋が頭を下げる歩のもとへあゆみより、ふわりと抱き締めた。

「歩ちゃん、頭をあげて。
我儘で自分勝手な息子に育ててしまって恥ずかしいんだけど、渉を愛してくれてありがとう。
選んでくれてありがとう。

二人で、ううん三人ね。
幸せになりなさい」