背後から伸びた手が歩の頭におかれた。

気安く触る人物にむっとして振り返ると、服部先生が俺の苛つく視線を無視して歩に笑いかけていた。

「あゆ、久しぶり。
…元気そうだな」

「あっ…隼人くん!」

「 坂口と付き合ってるんだって?」

「うん…」
恥ずかしそうに答える歩が堪らなく可愛いが

「「隼人くん!?」」
俺と高橋さんのむっとした声がかさなる。

むくれる高橋さんの両手を歩が握りしめはしゃぎだす。


「もしかして麻美ちゃん!?
うゎー!可愛い!!
隼人くんがずっと片想いしてた麻美ちゃんでしょ?

強引に結婚迫ったっていう。
私隼人くんの従兄妹なの」

「はぁぁ!?」

顔をしかめる俺に服部先生も同じように顔をしかめ

「お前と親戚になりたくないな。

あゆ、やっぱり考え直せ。
俺はこいつは認めたくない」

と口をへの字にして腕を組俺を睨む。

なんだよ…敏生さんの親友ってだけじゃなくて従兄妹だって!?

眉間にシワを寄せる俺を見て晒名と、いつのまにか来ていた佐久間や宮前が爆笑している。

「認めるもなにも…」

歩はそっと両手を自分のお腹にあてて幸せそうな笑みを浮かべて俺を見上げた。

「春にはこの子の父親だから」

瞬間、大きな音と皆の歓声が上がるなか夜空に一発目の綺麗な大輪が花開いた。

皆が夜空を見上げるなか俺は歩をぎゅっと抱き締めた。