恋に堕ちるのなんて、何気ない出会いで突然やってくるものなんだとはじめて知った…。


日曜の救急外来。
昨夜から当直医として勤務していた俺の勤務はもうじきおわる。

小児科医荒畑先生に引き継ぎも終わり、外科も佐久間から服部先生に引き継ぎが終わっていた。

「まだ来てないのか?なにやってんだあいつは!」

イライラした服部先生の声が静かな診察室に響いた。
外科の看護師がまだ出勤してきていないらしい。

「連絡もないよな?
まさか…事故か…?」

今度は顔色を変えて狼狽えだす。
冷静沈着で脳外科の若き凄腕医。4つ歳上だが落ち着いた大人な彼を、晒名と佐久間から尊敬する先輩医師だと聞いていた。

外まで探しに行く勢いの意外な姿に俺は目を見張った。
彼のこんな姿は外科では有名らしいが、俺にしてみればここまで狼狽えるほどの看護師に興味をもった。

その人物が服部先生の溺愛彼女、高橋麻美だと後程知ることになるのだが。