「モモ、どうしたの?
今日はやけに一人だけ見つめて踊ってたけど。
あのイケメン知り合いなの?

それとも……一目惚れ?」


ディナーショーを終え、控え室でメイクを落とす私にサクラが鏡越しに話しかける。

坂口先生が友人と店に現れた。
見知った顔を見つけて、正直動揺した。

「職場のドクター。

でもたぶん向こうは私を知らないと思う」

「ふーん…。
職場で目立つよねあのイケメンなら」

サライでサクラと踊るようになって二年ほどたつだろうか。

いまだかつて知り合いが店に食事に来たことはなかった。


濃いメイクをほどこして、衣装を身にまとうと大胆なMOMOに私は変わる。

あの日……

真っ直ぐに私を見つめる視線に目が離せなくて、また彼も私から目が離せなくなっていた。

まるでそこには私たちしか存在していないそんな感覚におちいっていた。