少したれ目の優しい目を、さらに細めて笑った敏生の顔が思い浮かぶ。

彼の目は敏生によく似ていて、優しく目を細めて笑うと敏生を思い出す。

二年ほど前からだろうか。

毎日遅めのランチに訪れる彼を目にするようになったのは。

少したれた二重の目は睫毛がながくて、アイドルのような笑みをいつもまわりに向けていた。

会計をしてコーヒーとサンドイッチがのったトレーを手渡すと
「ありがとう」
と柔らかく微笑む。

しばらくして彼のことを知る。

坂口渉ドクター。

小児科医。

爽やかで優しい王子様スマイルで、看護師たちを魅了している人気の先生だった。