やってしまった…。

術後で痛むお腹に顔を歪め、深いため息をつく。

勘のいい彼にすぐに見つかってしまうだろう。

窓の外の真っ青な空をベッドに横たわり見上げたまま、病院内のカフェで働きだした昔に思いを馳せる。

三年前、私は病院内のカフェで働きだした。

美容師だった恋人敏生(としき)が
入院したからだ。

彼の病名は白血病。

病名がわかり、病院での闘病生活はそれほど長くはなかった。

「歩、ごめんな。
一緒に生きてあげられなくてごめん。
俺がいなくなっても、早く俺を忘れて他のやつと幸せに生きろ。
俺が歩にぴったりなやつを引き合わせてやるからな。

約束だ。

そいつと必ず幸せになれ」