看護師の大半は女性、小児科医師なので診察するのは子供、患者の付き添いは母親、話す口調は穏やかで優しい雰囲気を作り仕事中はもはや別人格になっている。

飲み仲間の宮前は、
「お前180度キャラ違うよな。
疲れないのかよ」

とよく呆れているが仕事なんだから仕方がない。

「小児科医で素でいったらダメに決まってんだろ。
仕事だ仕事!
しかもこの容姿で毒舌俺様じゃひかれるだろ?

患者に常日頃接しない宮前だから、無愛想でやってけるんだぜ。
まぁ、その無愛想と、口の悪さでお前ずいぶん放射線科では不人気だよな」

「別に、俺はまわりに媚びたくもないし、女は面倒だから近寄ってほしくない」

眼鏡を押し上げるとグラスビールを口に運んだ。

「勿体ないな。
その眼鏡伊達なんだろ?
外したら佐久間よりイケメンだろ。院内イチのイケメンはお前なのに」

「あほくさ。
どーでもいいよそんなこと。

まぁ、好きな女ができたらはずすかな。可愛くヤキモチ妬くようなそんなコに出会えたらな」