「大切な人ってやつ…?

そうじゃなきゃ、あんな顔を俺に向けて踊らないよな。

良かったよ。似てて。

おかげでモモが俺に興味をもってくれた。

でも、紛れもなく俺は別人だ。」

「 怒らないんだ。
誰かと重ね合わせて見られてたのに」

「ポジティプだからね。
怒るどころか逆に感謝するよ。
そいつが俺とモモを引き合わせて距離を縮めてくれたんだから。

モモ、俺は君が好きだ。
君を知りたいし、君に触れたい」

「私を抱きたいの?」

「もちろん。
モモの全てを俺のものにしたい」

「それなら、昼間の私を見つけて。今日は約束どおり食事だけ。私を見つけてくれたら渉と朝を迎える」

「 期限は?」

「無期限」

「ヒントは?」

「私も昼間は病院内で働いてる」

「えっ!?
もしかして俺がサライに通う前から俺に惚れてた?」

彼女がクスクス笑う。
「すっごいポジティブ!
惚れてないし、今も惚れてないから」

「モモ、抱くだけじゃないからな。
抱いたら付き合うから俺たち」

「それは約束できない」

レストランの駐車場に車を止めて、彼女の腕を引き柔らかな唇に唇を重ねる。

「約束だ。
必ず見つける。その時はモモの全ては俺のものだから」

不敵に笑う俺に彼女はふいに塞がれた唇に手をあてて困ったように微笑んだ。