虎太朗も子供を望んでいたのは知っている。

真剣に妊活していた時期もあったが、あまりにもうまくいかなくて、落ち込んで塞ぎ混んだ私に、彼は優しく微笑んで私を抱き締めながら元気付けてくれた。

「自然にまかせよう。
必ず俺たちのもとには可愛いい葵と俺によく似た子供たちが来てくれるから。
今はその時じゃないんだよ。

ちゃんと彼らは時期が来たら俺たちのもとに来てくれるから」

こめかみに優しく落とされたキスに、泣きたい気持ちを我慢して頷いた。

辛くて悲しいのはきっと私だけではないはずたから…。

あれから三年、いまだにその気配はない。

虎太朗に抱かれることがだんだんと辛くなり始めた。

こんなにも彼を愛しているのに…。

母に相談すると私の考えに頷いてくれた。

彼は晒名総合病院の後継者だ。

跡取りを生まなくてはいけない…そんなプレッシャーが私の心を締め付ける。

たぶん、私の考えは見透かされている。

昔から虎太朗は私の痛みを察知して、優しく取り除き温かく包み込んでくれるのだ。