結婚してもうじき五年。

私たちにはいまだに子供が授からない。

坂口くんと歩ちゃんの子供、杏ちゃんがたまらなく可愛くて、虎太朗にそっくりな子供が生まれたらどれだけ可愛いいんだろうと何度も想像した。

管理栄養士の資格をとったものの、製菓学校に入り直して、私は両親が経営している洋菓子店でパティシエとして働いている。

私には今まで以上にバターやクリームの甘い香りが体に染み付き、虎太朗はそんな私を

「ん、甘くていい匂い。
あいかわらず葵は甘くて美味しい」

そう言いながら私の唇をペロリと舐めて口付ける。

再会してからもずっと変わらず、優しい瞳で私を見つめて、毎日愛を囁く彼が私も高校生のときから変わらず大好きだ。