修二さんが口角をあげて俺たちに目を向ける。
「さぁ!
お前ら、気合いいれて楽しんでこい!
大翔!」

「はい!」

修二さんにいきなり名指しされて背筋がピンとのびる。

「サクラちゃんにカッコいいとこ見せて惚れさせてこい!」

「えっ…いやあの…」

口ごもる俺の顔がみるみる赤くなっていくのが自分でもわかる。

「ばーか!
Desert のベーシスト、大翔のファンにしてこいって意味だ。
勘違いするな」

そういいながらにやつく修二さんに俺は赤い顔のまま口を尖らせて、「わかってますよ」そう答えてベースを手に眩いステージへ飛び出した。