ずっと動けずにぼんやりしている私に
「悠希ちゃん、最後のお別れをしてくれる?」

私の肩を抱いて棺の横に私を立たせ、力ない手に一輪のカサブランカを握らせた。

「浩平の顔の側に入れてあげてね。
最後の…お別れしてくれる?
もう、浩平とはお別れだから」

「あっっ!

いやっ!嫌だよ浩平!

目を開けてよ!

一人にしないで、浩平!浩平!」

冷たくなった浩平の頬に触れてその唇に口づける、、、
いつまでもすがりついて離れない私を父が無理矢理棺から離し、静かに蓋が閉じられ私は意識を手放した。