長い夢をみているようだった。

制服姿の高校生が長い列を作り、すすり泣く声がどこか遠くで聞こえていた。

泣くこともできずに、ただぼんやりとながめていた。

あの日…夜遅くに訪れた両親。
ドアを開けると母が私をぎゅっと抱き締めた。

「悠希、落ち着いて聞きなさい。
浩平くんが事故で亡くなった」

あとの記憶はほとんどない。
母に支えられ、父の運転する車で浩平の実家につれてこられ、布団に横たわり目を伏せたままの浩平がいた。

「うっっ…浩平!!」

冷たくなった浩平にしがみつき声が枯れるまで泣き続けた。

時が止まったようだった。

食べることも寝ることもできず、息をすることさえもままならなくなった。

誰の声も耳に入らなくて、母に喪服を着せられて黙って親族席の片隅に座っていた。