嘘と秘密と交換日記




海の底で、サンゴの森に囲まれて、

深く息を吸う。


答え合わせをしよう。


かけまちがえたボタンを直すように、丁寧に。


はめまちがえたパズルを戻すように、慎重に。


「よくよく考えたら、おかしい部分が多すぎたんだよな。

まず、手紙の中の『水瀬』は、俺の小学校時代を知っていた。
水瀬は中学からなのに。

そして、逆に知ってるはずの電話番号は知らなかった」




海の中、眞田の表情はうつむいて影になって見えない。



「手紙の『水瀬』が、本物の水瀬じゃないとしたら、誰なのか。

そして、

その誰かは、
誰にも知られずに交換日記の投函と回収ができて、
本当の水瀬からの手紙も渡すことができる人物」





水面が揺れている。

頭上を通りすぎた、マンタの影が横切る。



「小学校も同じで、
難しい四字熟語も知っていて、
誰よりも早く来てクラスの掃除をしている眞田。


お前しかいない」




青い暗闇が、ぬっと世界を塗りつぶす。



「…………」


「…………」




かすかに聞こえる後夜祭のざわめきが、よりいっそう静けさをひきたたせる。










「……ごめんなさい」





眞田の声は、小さな泡のように海の中に消え入るようだった。

口を閉ざした貝が、それでもわずかに開くように、眞田は少しずつ話し始めた。