「兄貴、ハルのこと、本当に頼むよ?」

 翌朝、ハルを迎えに行って一緒に大学に行ってくれるという兄貴に、電話口でくどくどと注意事項を述べて、昨晩同様に今日も苦笑される。

「ハルを一人にしないでね? 絶対だよ、兄貴。本当に頼むよ?」

「分かった、分かった」

「沙代さん情報では、ハル、体調は悪くないみたいだけど。……あ! 弁当! そう、昼休み、一緒に弁当食べてね? 薬飲み忘れないように気を付けてね?」

「えーっと叶太、それは俺が言わなくてもハルちゃん忘れないと思うよ」

「ああ、まあそうか。いやだから昼休みだって! ちゃんとご飯食べられてるか、食欲はあるかを確認しなきゃだし」

「はいはい。朝、約束しておくよ。それよりお前、大丈夫? 熱、まだ下がらないんだろ」

「大丈夫。ハルに会えないのが寂しいだけで、元気だよ」

「あーそれはお気の毒さま」

 兄貴は苦笑するが、笑いごとじゃない。

「まあゆっくり寝て、早く治せよ」

「うん、ありがと。とにかく、ハルをよろしくね? あ、兄貴、なんかハルのことで分からないこととか困ったことがあったら、いつでも電話ちょうだいね?」

「はいはい。ホント、相変わらずハルちゃん愛されてるね〜」

「うん、心の底から愛してる」

 力強く答えると、兄貴はプッと吹き出した。

「まあ、お前はそれが通常運転だよな」