寂しさを紛らわそうと、スマホに入ったハルの写真を眺めていると、不意にドアがノックされた。

 トントントン。

「はい」

「叶太、大丈夫?」

 と言う声と共にドアがカチャリと音を立てて開けられ……

「ちょっと待った!! 開けないで!!」

 パタン。

 ギリギリセーフ。ドアはすぐにまた音を立てて閉められた。

「えーっと、叶太?」

 ドアの向こうから戸惑ったような兄貴の声が聞こえる。

「メール! メール送るから、ちょっと部屋に戻ってて!」

「……あー、うん、了解。じゃあ、待ってるね?」

 基本穏やかな兄貴は訳が分からないといった様子のまま、何も追求せずに引き上げていった。
 

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 TO:兄貴
 件名:一生のお願い!!
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 オレ、インフルエンザにかかったらしくて、
 最低でも一週間は学校に行けなさそう。(涙)

 ハルが一人じゃ危ないから、兄貴、大学でできる
 限りハルの側にいてくれる?
 て言うか、いてください!

 でもって、兄貴はオレの部屋は立ち入り禁止!
 家にいる時はマスクしてください。
 それから、オレの側にも来ないで。絶対!
 後、お袋をハルに会わせないで!
 て言うか、それは明日オレが言えばいっか。
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 オレが兄貴宛にメールを送って数分後、兄貴から電話がかかってきた。