15年目の小さな試練

「つまりですね」

 と若尾さんは渡された紙の数字を5から7、2から4に変えて、発症日に「日」、1日目に「月」と曜日を書き加えてくれる。

「発熱が始まった日が土曜日か日曜日かがちょっと微妙ですが、安心を買って、日曜日に熱が出たと考えましょう」

 オレが発熱に気が付いたのは、0時半。確かに、実に微妙な時間だ。1時間前に発熱に気が付いていれば、土曜日が発症日だろう。だけど、万が一を考えたら、ここで土曜日に発症したはずだと主張できるはずがなかった。

「……という訳で、水曜日までに熱が下がれば、月曜日には陽菜ちゃんと会っても大丈夫ですよ」

 それから、と若尾さんは続けた。

「陽菜ちゃんには会わない方がいいと思いますが、学校自体は発症後5日かつ解熱後2日経っていれば、行ってもらって大丈夫です。つまり、……あ、土曜日ですね。じゃあ、どっちにしろ、今週はお休みですね」

 若尾さんは

「まあ、ゆっくり休んでください」

 と笑って言ってくれたけど、今日から数えて、丸一週もハルに会えないなんて長過ぎだ。

 どうしようもないと分かっているけど、あまりの厳しい現実に思わず泣きたくなった。