十幾つある校舎の中心辺りに位置する一棟が部活とサークルの紹介に使われていた。校舎を出ると、そこも、結構な人波だった。この道路脇にも、色んな部活・サークルがテントを出していて、興味がある部活やサークル前で立ち止まる人がいる。
校舎から大学正門の隣にある駐車場まではそんなに距離はないはずだけど、左右にテントが張られていたり、呼び込みの人がいたりで、道が狭くなっているせいもあるのかな、なかなか前へ進まない。
校舎内の通路と変わらないどころか、呼び込みが教室内じゃないだけに、飛び交う勧誘の賑やかな声はキャンバスいっぱいに響き渡る。
この人垣、どうやって通ればいいのだろう、と半ば呆然とするわたしの肩を抱き、人波からかばうように、カナは人と人の間をゆっくりと、だけど確実に抜けていく。
途中、渡されるチラシをうっかり一枚受け取ってしまうと、次から次に渡される。受け取れないものは、持っていたチラシの上に重ねられてしまった。
その時、カナの向こうから、「あ」と言う声がした。
「叶太!」
その明るい声にカナが足を止めたので、声のした方に目をやると、結婚式にも来てくれたカナの友だちがいた。確か、小学校の頃から一緒に空手をやっているという……。
「淳(じゅん)!」
「ここで会えるとは」
「ああ、すごい人だよな」
「今、いい?」
そう言いながら、谷村淳くんはカナを人垣の外、呼び込みをしている人たちの後ろ側に誘う。
「ハル、少しいい?」
「もちろん」
離れて待とうと一歩下がると、逆にカナに引き寄せられた。
「人がすごすぎてはぐれそうだから。ハルも一緒にいて?」
確かに、うっかり離れたらはぐれそうな気がする。
小さく頷くと、カナに肩を抱かれ谷村くんのところに連れて行かれた。
そうか、谷村くん、杜蔵学園大学に入ったんだ。
カナは知ってたのかな?
……知ってるか。だって、毎週会ってるもんね。
校舎から大学正門の隣にある駐車場まではそんなに距離はないはずだけど、左右にテントが張られていたり、呼び込みの人がいたりで、道が狭くなっているせいもあるのかな、なかなか前へ進まない。
校舎内の通路と変わらないどころか、呼び込みが教室内じゃないだけに、飛び交う勧誘の賑やかな声はキャンバスいっぱいに響き渡る。
この人垣、どうやって通ればいいのだろう、と半ば呆然とするわたしの肩を抱き、人波からかばうように、カナは人と人の間をゆっくりと、だけど確実に抜けていく。
途中、渡されるチラシをうっかり一枚受け取ってしまうと、次から次に渡される。受け取れないものは、持っていたチラシの上に重ねられてしまった。
その時、カナの向こうから、「あ」と言う声がした。
「叶太!」
その明るい声にカナが足を止めたので、声のした方に目をやると、結婚式にも来てくれたカナの友だちがいた。確か、小学校の頃から一緒に空手をやっているという……。
「淳(じゅん)!」
「ここで会えるとは」
「ああ、すごい人だよな」
「今、いい?」
そう言いながら、谷村淳くんはカナを人垣の外、呼び込みをしている人たちの後ろ側に誘う。
「ハル、少しいい?」
「もちろん」
離れて待とうと一歩下がると、逆にカナに引き寄せられた。
「人がすごすぎてはぐれそうだから。ハルも一緒にいて?」
確かに、うっかり離れたらはぐれそうな気がする。
小さく頷くと、カナに肩を抱かれ谷村くんのところに連れて行かれた。
そうか、谷村くん、杜蔵学園大学に入ったんだ。
カナは知ってたのかな?
……知ってるか。だって、毎週会ってるもんね。