ハルちゃんはそれを見て、とても悲しそうに目を伏せた。
「やるべきことを、やりなさい! 課題は今まで通りに出します。他の子と同じように、二週間は時間をあげましょう。それまでに出してこなかったら、単位は出しません!」
山野先生の言い放った言葉の後、ハルちゃんは何も言わなかった。ただ、とても悲しそうな目で山野先生を見つめていた。
研究室に居心地の悪い沈黙が落ちる。
---カチャッ。
そんなタイミングで、研究室のドアが前触れもなく開けられた。
振り返ると、そこにいたのは久保田教授だった。俺の所属する研究室の教授で、杜蔵大学経済学部の学部長をしている実力者。
なんで、久保田教授がここに? しかもノックもせずに。
「久保田先生、どうされましたか?」
山野先生は瞬時に握り拳を緩めて、表情を引き締めて立ち上がった。その変わり身の早さに驚く。
恥ずかしながら、俺は何が起こっているか分からなかった。
隣にいるハルちゃんもそれは同じで、驚いたように久保田教授の方を見ていた。
久保田教授はゆっくりと室内、俺たちの座るソファのところまで歩いてきた。
「山野先生、聞かせてもらいましたよ」
「……は?」
久保田教授が手に持っていたスマートホンを触ると、スピーカーから音が流れ出した。
「私の研究室でね、最初から聞いていたんです」
教授の言葉が半秒ほど遅れてスピーカーから流れ、教授の言葉が二重に聞こえてくる。
……ああ、なるほど。叶太か。
「やるべきことを、やりなさい! 課題は今まで通りに出します。他の子と同じように、二週間は時間をあげましょう。それまでに出してこなかったら、単位は出しません!」
山野先生の言い放った言葉の後、ハルちゃんは何も言わなかった。ただ、とても悲しそうな目で山野先生を見つめていた。
研究室に居心地の悪い沈黙が落ちる。
---カチャッ。
そんなタイミングで、研究室のドアが前触れもなく開けられた。
振り返ると、そこにいたのは久保田教授だった。俺の所属する研究室の教授で、杜蔵大学経済学部の学部長をしている実力者。
なんで、久保田教授がここに? しかもノックもせずに。
「久保田先生、どうされましたか?」
山野先生は瞬時に握り拳を緩めて、表情を引き締めて立ち上がった。その変わり身の早さに驚く。
恥ずかしながら、俺は何が起こっているか分からなかった。
隣にいるハルちゃんもそれは同じで、驚いたように久保田教授の方を見ていた。
久保田教授はゆっくりと室内、俺たちの座るソファのところまで歩いてきた。
「山野先生、聞かせてもらいましたよ」
「……は?」
久保田教授が手に持っていたスマートホンを触ると、スピーカーから音が流れ出した。
「私の研究室でね、最初から聞いていたんです」
教授の言葉が半秒ほど遅れてスピーカーから流れ、教授の言葉が二重に聞こえてくる。
……ああ、なるほど。叶太か。



