「それはオレが!」

 とカナが身を乗り出し声を大きくしたのを見て、晃太くんはくすりと笑った。

 心配してくれているんだよね。

 だけど、ここでカナに付いてきてもらうのは、どうなんだろうと疑問が浮かぶ。

「一人で行ってこようと思ってるの」

「ハル!?」

 カナが慌てたようにわたしを凝視。

「叶太、落ち着け」

 と晃太くんがカナをなだめた。

 そんなにおかしいかな? だって、自分のことだよ?

「えっとね、ハル、一人で行くのはオレは反対」

 晃太くんの制止を受けて少しばかり冷静になったカナがそう言った。

「なんで?」

「危ないし」

「なにが?」

「いや、先生が何かするかも……」

「学校の中だよ?」

「密室だし」

「……女の先生だよ?」

「……そういう心配はしてないけど」

 カナは小さくため息を吐いた。

「ハルはなんでオレが一緒に行くのは嫌なの?」

 カナはジッとわたしの顔を覗き込んだ。

「いい年して、そんなことも一人でできないなんて……恥ずかしいし」

 先生にお願い、というかクレームしに行くんだよね? 夫同伴で行くとか、どうななんだろうと思ってしまう。

「別に恥ずかしいとか思う事じゃないでしょ」

「だけど」

 どうすればカナが諦めてくれるのかと思い悩んでいると、晃太くんが優しく口を挟んだ。