15年目の小さな試練

 それから、オレは、ハルが課題をもらう度に感じていた小さな違和感を教えてもらった。

 思い返せば出て来るという、小さな違和感について教えてもらうたびに、オレの心はズシリと重くなる。

 一通り、話を聞いたところで、ウトウトし始めたハル。

「……ねえ、ハル。オレ、明日にでも学長に話してくるね」

 これはもう、『意地悪』という言葉では片付けられないんじゃなかろうか。
 いや、オレが片付けたくない。

 ハルの持病については、診断書も提出してあるし、高等部の保健室からの申し送りもしてもらった。寄付金を出す際には、ハルの体調への配慮を願いたい旨をしっかり伝えてもあった。

 なのに、配慮してもらうどころか、さりげなくプレッシャーをかけて、少しずつハルを追い込んでいった山野先生。

「……なんで?」

 半分眠りに突入しかけたような、少し寝ぼけた声でハルが聞き返す。

「ちょっと、ひどいなって思って」

「……いいよ。わたし、……楽しかったし」

 いや、確かにハルは楽しそうだった。特に最初の方は、本当に楽しそうだった。

 だけど、山野先生は、そんなハルの気持ちを踏みにじるようなことをしていたんだ。
 ハルを挑発するようなことを言ってプレッシャーをかけて、ハルはそれに応えようと頑張った。実際に応えもした。

 でもきっと、疲れが取れきれずに微熱が出ることが増えていたのだって、少し前の高熱だって、通院のたびに、心臓の調子が良くないから無理するなと言われるのだって、多分、山野先生のそんな行動にも一因がある。