「ううん。違うの。責めているんじゃないのよ?」
ハルは小さく左右に首を振る。
ああ、また我慢させた、そう思った。
オレになんて気を使う必要ないし、言いたいことを言えばいいのに。
気が付くと、オレは立ち上がってハルを抱きしめていた。背中を丸めたオレのお腹の辺りにハルの頭が来る。
「……カナ?」
「何となく……ホント、何となくなんだけど、ハルの気持ちが分かった気がする」
手加減なく、次から次へと「できるものなら、やってみなさい」とばかりに難題を渡してくる山野先生。きっと、ハルにはすごく新鮮に感じられたんだろう。
ハルも立ち上がって、ギュッとオレにしがみついてきた。
「……嬉しかったんだもん」
ハルはぽつりと小さな声で言う。
「そっか。嬉しかったんだ」
オレが繰り返すと、ハルは小さく頷いた。
オレはハルをベッドに座らせ、隣に腰掛ける。
「……はじめてだったから」
「山野先生?」
「……ん。どんどん勉強しなさいって言ってもらえたの、はじめてだった」
ハルはふわっと優しい笑顔を浮かべた。
「思う存分勉強していいよって言われた気がしたの」
「そっか」
「……わたし、走ったりの運動は一つもできないけど、……頭を動かすことなら、できるんだよ」
ハルは遠くを見つめて、そう言った。
「うん。……知ってる」
オレよりずっと賢いハル。
記憶力も良くて、頭の回転だって抜群に速い。
ハルは小さく左右に首を振る。
ああ、また我慢させた、そう思った。
オレになんて気を使う必要ないし、言いたいことを言えばいいのに。
気が付くと、オレは立ち上がってハルを抱きしめていた。背中を丸めたオレのお腹の辺りにハルの頭が来る。
「……カナ?」
「何となく……ホント、何となくなんだけど、ハルの気持ちが分かった気がする」
手加減なく、次から次へと「できるものなら、やってみなさい」とばかりに難題を渡してくる山野先生。きっと、ハルにはすごく新鮮に感じられたんだろう。
ハルも立ち上がって、ギュッとオレにしがみついてきた。
「……嬉しかったんだもん」
ハルはぽつりと小さな声で言う。
「そっか。嬉しかったんだ」
オレが繰り返すと、ハルは小さく頷いた。
オレはハルをベッドに座らせ、隣に腰掛ける。
「……はじめてだったから」
「山野先生?」
「……ん。どんどん勉強しなさいって言ってもらえたの、はじめてだった」
ハルはふわっと優しい笑顔を浮かべた。
「思う存分勉強していいよって言われた気がしたの」
「そっか」
「……わたし、走ったりの運動は一つもできないけど、……頭を動かすことなら、できるんだよ」
ハルは遠くを見つめて、そう言った。
「うん。……知ってる」
オレよりずっと賢いハル。
記憶力も良くて、頭の回転だって抜群に速い。



