抜けるように白い肌に、伏せた目を縁取る長いまつげ、赤い唇、柔らかくて少し色の薄い髪。整った容姿が人間離れして際立ちすぎて、ハルがこのままどこかに行ってしまうのではないかと少し不安になる。

 それでも、ハルに触れたい思いを抑えながら、オレはハルが答えてくれるのを待っていた。

 数分後、ハルは伏せていた目を上げた。
 そして、小さく息を吸ってから少しかすれた声で静かに言った。

「……特別扱い、が、イヤなんだと思う」

「そっか。特別扱いがイヤ、か」

 思いもかけなかった言葉が飛びだし、思わず復唱してしまう。

「……いつも、誰も、……わたしに、勉強しなさいって言わないの」

 ハルはキュッと唇を噛んだ。

 それはハルを気遣う気持ちからくるものだから、それをハルは痛いほど感じているから、多分言葉にするのに迷ったのだと思う。ハルの目にははっきりと躊躇する様子が見えた。

「分かってるの、ちゃんと。……みんな、心配してくれているのだって」

 もしかしたら、オレに問われてすぐ、ハルはその答えを見つけていたのかもしれない。ただ、言えなかっただけで……。

「……だけど、本当はいつも不安だった」

「不安?」

「こんな風で大丈夫なのかなって。みんな頑張ってるのに、わたしだけ……」

 ハルの目が潤む。

「……わたしだけ、何もしなくて、いいって……言われて」

 いつだって、抜群に成績が良かったハル。体調が悪くて休んだって、授業を受けられていなくたって、いつだってオレより成績が良かったハル。