困ったように、えみちゃんを見つめていると、えみちゃんは、

「あれ? もしかして、通じてない?」

 と目を丸くした。

「ハルちゃん、叶太くんと夫婦なんだよね?」

「うん」

「あのさ、……うわー、まだ通じてないよね。えっと、ハルちゃん、叶太くんと夫婦生活って、あるんだよね?」

 ……ふうふ、せいかつ?

 ……え?

 あれ?

「……あ」

 もしかして、それって……。

 もしかして、それって、性行為の、こと?

 えみちゃんが言っている意味が分かった瞬間、全身、湯気が立つかと思うくらいに真っ赤になったのが分かった。

「ハルちゃん、ちょっと待って、人妻だよね? なに、その初心さ! 私の方が恥ずかしくなるよー」

 えみちゃんが笑いが止まらないと言った感じで口元を押さえた。

 わたしは恥ずかしくて上気した頬を押さえて、窓の外に視線を反らした。

 『叶太くん、かわいそう』の意味は、まさかの意味で……。

 そうか、十八歳って、やりたい盛りなのか。

 でもって、わたしが相手だと病気のせいで思う存分できなくて……。

 それが、拷問で……。

 半分、涙目になりながらも、えみちゃんの言葉を脳裏で繰り返さずにはいられなかった。

 だから、カナはかわいそうって言われていて……。

 あまりに思いがけない言葉に、わたしの頭はパンク寸前。

 そんな中、注文したケーキや紅茶が

「お待たせしました」

 と運ばれて来て、ふわっと立ち上ったピーチティーの甘い香りが、わたしの意識を少しだけ現実に引き戻した。