お義父さま、いつも温かく見守ってくれてありがとう。カナが牧村になるのを許してくれて、本当にありがとう。そうじゃなきゃ、きっとパパは結婚なんて許してくれなかった。

 お義母さま、いつも美味しいケーキをありがとう。カナにお料理を教えてくれてありがとう。美味しいご飯、食べさせてもらってます。

 おじいちゃん、ありがとう。どんな時もわたしの味方でいてくれて、ありがとう。

 おばあちゃん、ありがとう。おばあちゃんのおかげで、きっと今のわたしはいるのだと思う。

 お兄ちゃん、ありがとう。いつも気にかけてくれて、何かあったら飛んで来てくれて。お兄ちゃんがこまめにカナからわたしのことを聞いているの、知ってるよ。

 晃太くん、お兄さんになってくれて、ありがとう。いつかまた、晃太くんのピアノを聴きたいな。

 気恥ずかしくて口にはできない。だけど伝えたくて、プレゼントの包みの中に、1人ずつ手紙を入れた。

「あのね、大したものじゃないの。だから、期待はしないでね」

 そう言って、最後にカナにも手渡す。

「え? なに? オレの分もあったの?」

 カナは包みを受け取りながらも、不思議そうな表情を見せる。
 にこりと笑って頷くと、

「ありがとう」

 の言葉と一緒に頰にキスが降ってきた。
 結婚したからかな。恥ずかしいには恥ずかしいのだけど、慌てふためくようなことはなく、ただほんの少し頬を染めるだけで済んだ。

 そんなわたしたちを見守っていたママが声を上げた。

「開けてもいい?」

「もちろん」

 その言葉を受けて、なぜか開封せずに待っていたらしい全員がガサゴソとリボンをほどき始めた。