わたしに対する不満をたくさん口にした後、彼女は、わざとらしいため息を吐いた。


「あーあ。叶太くん、かわいそう」


 吐き出されたたくさんの言葉が脳裏に浮かんでは消える。

 胃がギュッと重くなった。


 ……違う。

 カナにはカナの意思があるから。

 カナがわたしがいいって言っているのなら、それを他の誰かが否定するのはおかしいんだ。

 あの時も、わたし、ちゃんと言い返した。

 カナが何をどう思っているかなんて、カナにしか分からない。

 もう二年も前に終わっている話。


 カナはかわいそうでなんて、ない。


 なんで、わたしは何年も前に終わった話を、投げつけられた言葉をこんなにしっかり覚えているんだろう。

 もうすっかり過去のものになったと思っていたのに……。

 もう、終わりにしようよ。

 ……終わりにしなきゃ。

 そう思った。

 だけど、三度目に聞いた「叶太くん、かわいそう」の声が、えみちゃんが言った言葉が、頭に残って離れない。