ようやく熱が38度台になったのは、金曜日の夕方。

 微熱になったのは土曜日の昼頃だった。

 そこまで来て、ようやく、行き場のないだるさが少し減った。

 今日中に熱が下がったら、明日一日様子を見て、月曜日に退院だと言われた。
 月曜日のお休みは決定。

 火曜日から、大学行っても大丈夫かな? 自宅療養って言われるかな?

「あ、そうだ」

 土曜日の午後、カナが思い出したように言った。

「なあに?」

「伝えて欲しいって頼まれたから、一応伝えるね?」

「……えっと…うん」

「海堂たちが、ハルの見舞いに来たいって」

 妙に重々しい前置きに、何が来るのかと思ったら、そんなことかと拍子抜けした。

「ここに?」

「退院してたら、家でもいいって感じだった」

 カナはまるで乗り気ではなさそう。

 確かに、検査入院とかじゃなく、本気で体調が悪くて入院しているときは、先生からもお見舞いは禁止される。
 そこまでじゃなくても、体調が今一つな時、わたしはあまり人に会いたがらない。カナはそれを良く知っている。

 熱が下がってきた今ならどうだろう?

 やっぱり、誰かに会いたいとは思えなかった。

 多分、気乗りしないのが表情に出ていたのだと思う。

「だよね。じゃあ、断っておくね」

 カナは気負うことなく、当たり前のように受け流した。

「……みんな、心配してた?」

「うん。えっとさ、ハルの持病のことも話したから、よけい心配してるかも」

「……そっか」