カナがふたを開けると、出てきたのはイチゴ。
「ダメそう? ……じゃあ、こっちは?」
とカナはまた小振りなタッパーを取り出して、ふたを開ける。
今度はパイナップルが入っていた。
「これはどう?」
今度はキウイ。
「これでもない? じゃあ……」
その次にタッパーから現れたのは、薄皮まで剥かれたグレープフルーツ。
カナはにこにこ、楽しげに果物の入ったタッパーを並べていく。
「じゃあ、これとかどうかな?」
そうして出てきたのは、桃、丸ごと一個。
「これは、剥くと味が落ちるから、そのまま持ってきた」
楽しげに笑いながら、カナは紙袋から果物ナイフも取り出した。
次々に並べられる果物に、呆然としていると、最後に大きなお弁当箱が出てきた。
「あ、これはオレの夕飯。ハルが食べなかった果物はオレのデザートになる予定」
カナはくすくす笑いながら、わたしの頭にキスを落とす。
気がつくと、食べなきゃというプレッシャーはどこかへ行ってしまっていた。
病院のご飯に添えられた果物には全く食指が動かなかったのに、カナが並べてくれた果物は、何故か魅力的に見えた。
「……あのね」
「うん」
カナはせかすことなく、わたしを見て優しく微笑んだ。
わたしはそんなカナの目を見て、ゆっくりと桃に手を伸ばす。
「……桃がいい、な」
「了解!」
カナは満面の笑みを浮かべると、
「すぐ用意するから待っててね」
と歌でも歌いそうなくらいご機嫌な様子で、紙袋の中からガラスの器とフォーク、そして、おしぼりを取り出すと、おもむろに桃を剥き始めた。
「ダメそう? ……じゃあ、こっちは?」
とカナはまた小振りなタッパーを取り出して、ふたを開ける。
今度はパイナップルが入っていた。
「これはどう?」
今度はキウイ。
「これでもない? じゃあ……」
その次にタッパーから現れたのは、薄皮まで剥かれたグレープフルーツ。
カナはにこにこ、楽しげに果物の入ったタッパーを並べていく。
「じゃあ、これとかどうかな?」
そうして出てきたのは、桃、丸ごと一個。
「これは、剥くと味が落ちるから、そのまま持ってきた」
楽しげに笑いながら、カナは紙袋から果物ナイフも取り出した。
次々に並べられる果物に、呆然としていると、最後に大きなお弁当箱が出てきた。
「あ、これはオレの夕飯。ハルが食べなかった果物はオレのデザートになる予定」
カナはくすくす笑いながら、わたしの頭にキスを落とす。
気がつくと、食べなきゃというプレッシャーはどこかへ行ってしまっていた。
病院のご飯に添えられた果物には全く食指が動かなかったのに、カナが並べてくれた果物は、何故か魅力的に見えた。
「……あのね」
「うん」
カナはせかすことなく、わたしを見て優しく微笑んだ。
わたしはそんなカナの目を見て、ゆっくりと桃に手を伸ばす。
「……桃がいい、な」
「了解!」
カナは満面の笑みを浮かべると、
「すぐ用意するから待っててね」
と歌でも歌いそうなくらいご機嫌な様子で、紙袋の中からガラスの器とフォーク、そして、おしぼりを取り出すと、おもむろに桃を剥き始めた。



