15年目の小さな試練

 中学何年生の時かな? 中間テスト前に体調を崩したことがある。

 カナに連れて行かれた保健室で、

「陽菜ちゃん、勉強より身体を第一にね?」

 養護の先生にそう言われた。

 無理な勉強をしていたつもりはなかったのだけど……。
 なのに、その日、迎えに来てくれた沙代さんには、

「お勉強はやめて、身体を休めましょう」

 とベッドで読もうと思っていた教科書を取り上げられた。

 みんなが授業を受けている時間、わたしはベッドの中でぼんやりと、ただ不安と戦っていた。
 こんな風で大丈夫なのかな……って。




 それでも、そんな程度の勉強しかしなくても、成績は割と上の方だった。

 だから、尚のこと無理はするなと言われたのかも知れない。

 無理してその成績を保つ必要はないという意味なのか、成績がいいのだから無理して勉強する必要はないという意味なのか?

 わたしにはどちらとも区別が付かなかった。だけど、漠然とした不安だけは、いつもどこかにくすぶっていた。