「お義母さん、ハルのこと、お願いね?」

「はいはい。それもう5回目だから」

 今日は日勤だというお義母さんが通勤の時に、沙代さんと一緒にハルを病院に連れて行ってくれると言うから、オレは後ろ髪を引かれながらも大学に行くことになった。

 お義母さんが診察しただけじゃ足りない程度には、ハルの調子は良くない。
 さっき熱を測ったら39度8分もあったし、呼吸も酸素を吸入してもなお苦しそうで。

「何かあったら、電話お願いします」

「うん。それも5回目」

 苦笑いしながら、お義母さんは答える。

「でさ、陽菜は叶太くんの愛妻だけど、私にとっても可愛い娘なんだって、思い出して欲しいな~なんて」

「あーうん、もちろん分かってるんだけど」

「うんうん、分かってても陽菜のこと好きすぎて、抑えが効かないんだよね」

 からかうような声で言われるけど、そこに異存はない。

「そう! そうなの! だから、若干くどいのは許して!」

 そう返したオレの言葉にお義母さんは吹き出し、キッチンからは沙代さんの忍び笑いが聞こえてきた。