自分の支度を済ませた後、薬を飲ませるためにハルを起こした。

「ハル、ハル」

 好きなだけ寝かせておいてあげたいけど、ハルは決まった時間に薬を飲まないといけない。

「ハル」

 何度か声をかけると、ハルがうっすらと目を開けた。

「ハル、おはよう」

 ぼんやりとオレを見るハル。
 だるそうな呼吸と、熱に上気した肌と潤んだ目がかわいそうでならない。

「……おは、よ」

 少しかすれた声で、ハルは答えてくれた。
 頭をなで、額に浮かんだ汗を拭う。

「ハル、ご飯食べられそう? 薬飲まなきゃいけないから」

 そう聞くけど、ハルは左右に小さく首を振った。

「おかゆか、ゼリーならどうかな? それか、自家製スムージーとか」

「……ゼリー、少し、なら」

 本当はたぶん、まったく欲しくないんだろうなと思う。
 ただ、何も胃に入れずに薬を飲むのは良くないと、ハルはよく知っているから。

「すぐ持って来るね」

「ん。……ありがと」