晃太くんのレッスンでは、まず最初にわたしが一人で弾いて、その後に晃太くんが気になるところを教えてくれる。そこを直してまた弾いて、教えてもらって、というのを何度か繰り返す。
ちょっとしたアドバイスなのに、晃太くんの言う通りにすると、バラバラだった音がちゃんと曲になる。本当に不思議。
「いいね! すごく良くなったよ!」
初めての日から変わらず、今日も晃太くんは誉め上手。
いつもと違って、リビングのソファにはカナもいるから、何だかとても恥ずかしい。
何度目かの演奏の後、晃太くんは
「これなら、今日で仕上がりそうかな?」
と言った。
「え、ホント?」
思わず、晃太くんを見上げると、晃太くんはとても優しく笑ってくれた。
「うん。ハルちゃん、ホント、よく頑張ったね」
その言葉に、ふわりと心が温かくなる。そして同時に、お腹の底からふつふつと嬉しさが沸き上がって来た。
「いい笑顔」
晃太くんはニコッと笑うと、わたしの頭にふわりと手を置いた。
「じゃあ、もう一回弾いてみようか?」
「はい!」
晃太くんに注意されたところをしっかり心に思い浮かべ、わたしは鍵盤にそっと手を置いた。
あっと言う間に時間が過ぎて、
「うん。すごく良くなった! じゃあ、次で最後にしよう。思いっきり、楽しんで弾いてみて」
と晃太くんが言う。
ああ、そうか。
これで最後という事は、もうこの曲は終わりなんだ。
来週には、違う曲って事だよね?
何だか、とても名残惜しい。
だって、ほとんど毎日、弾いていたんだよ?
心を込めて弾こう。晃太くんが言う通りに、楽しんで弾こう。
自然と、そう思えた。
そうして、私は静かに曲を奏で始めた。
ちょっとしたアドバイスなのに、晃太くんの言う通りにすると、バラバラだった音がちゃんと曲になる。本当に不思議。
「いいね! すごく良くなったよ!」
初めての日から変わらず、今日も晃太くんは誉め上手。
いつもと違って、リビングのソファにはカナもいるから、何だかとても恥ずかしい。
何度目かの演奏の後、晃太くんは
「これなら、今日で仕上がりそうかな?」
と言った。
「え、ホント?」
思わず、晃太くんを見上げると、晃太くんはとても優しく笑ってくれた。
「うん。ハルちゃん、ホント、よく頑張ったね」
その言葉に、ふわりと心が温かくなる。そして同時に、お腹の底からふつふつと嬉しさが沸き上がって来た。
「いい笑顔」
晃太くんはニコッと笑うと、わたしの頭にふわりと手を置いた。
「じゃあ、もう一回弾いてみようか?」
「はい!」
晃太くんに注意されたところをしっかり心に思い浮かべ、わたしは鍵盤にそっと手を置いた。
あっと言う間に時間が過ぎて、
「うん。すごく良くなった! じゃあ、次で最後にしよう。思いっきり、楽しんで弾いてみて」
と晃太くんが言う。
ああ、そうか。
これで最後という事は、もうこの曲は終わりなんだ。
来週には、違う曲って事だよね?
何だか、とても名残惜しい。
だって、ほとんど毎日、弾いていたんだよ?
心を込めて弾こう。晃太くんが言う通りに、楽しんで弾こう。
自然と、そう思えた。
そうして、私は静かに曲を奏で始めた。



