カナが部活に行く時も、毎週、お迎えの車までは送ってくれる。それもあって反射的にその手を取ると、カナはニコッと嬉しそうに笑ってくれた。
「ハルが大丈夫なら、ピアノのレッスンは止めないよ。だけど、オレも見学させてね?」
「あの、でも、カナ……」
背中をそっと押されて、そのまま歩き出しながら、訳も分からず言葉を返そうとすると、カナは有無を言わさぬ様子で続けた。
「今日は空手は休み。ハルだって空手の見学しただろ? オレにもたまには見せてよ、ピアノのレッスン」
「……え…っと」
本当に空手、休むの?
わたしの体調が良くなさそうで心配だから、と言うのなら断った。
だけど、わたしが空手の見学をさせてもらったのと同じように、ピアノのレッスンを見せて欲しいと言われると、断ってはいけない気がする。
だって、見学させてもらえて、わたし、本当に楽しかったから。
「今日で4回目だっけ?」
「うん」
答えてから思い出す。
「でも、カナ、いつもわたしが弾くの、聞いてるよね?」
レッスンの見学こそしていないけど、わたしが練習するのをカナはほぼ毎日聞いている。
だけど、カナは楽しそうに笑うと、
「ハル一人でする練習は見せてもらってるけど、兄貴とのレッスンは別物だろ?」
と言って、わたしの髪をくしゃりとなでた。
「ハルが大丈夫なら、ピアノのレッスンは止めないよ。だけど、オレも見学させてね?」
「あの、でも、カナ……」
背中をそっと押されて、そのまま歩き出しながら、訳も分からず言葉を返そうとすると、カナは有無を言わさぬ様子で続けた。
「今日は空手は休み。ハルだって空手の見学しただろ? オレにもたまには見せてよ、ピアノのレッスン」
「……え…っと」
本当に空手、休むの?
わたしの体調が良くなさそうで心配だから、と言うのなら断った。
だけど、わたしが空手の見学をさせてもらったのと同じように、ピアノのレッスンを見せて欲しいと言われると、断ってはいけない気がする。
だって、見学させてもらえて、わたし、本当に楽しかったから。
「今日で4回目だっけ?」
「うん」
答えてから思い出す。
「でも、カナ、いつもわたしが弾くの、聞いてるよね?」
レッスンの見学こそしていないけど、わたしが練習するのをカナはほぼ毎日聞いている。
だけど、カナは楽しそうに笑うと、
「ハル一人でする練習は見せてもらってるけど、兄貴とのレッスンは別物だろ?」
と言って、わたしの髪をくしゃりとなでた。



