15年目の小さな試練

 最近、色んな人から「大丈夫?」と聞かれている気がする。
 そして、勉強が好きだと言うと変な顔をされる。
 晃太くんも、そして、河野くんや海堂くん、柚希ちゃん、美香ちゃん……。

 そんなに、おかしいかな?

 だけど、一番心配性のカナは心配そうにしながらも、無理には止めずに見守ってくれていた。

 確かに、大丈夫だった。

 課題を解くことに関しては。実際、みんなに言っていた通りに楽しかったから。



    ☆    ☆    ☆



 水曜日。週の真ん中。

 どうにも全身の気怠さをぬぐえない中、何とか一日の講義がすべて終わった。

 教科書やノートを片付けていると、早々に片付け終わったカナが、とても真面目な表情でわたしの方を見た。

「ねえ、ハル」

「なあに?」

 手を止めて、カナの方を見ると、

「今日はオレも一緒に帰るから」

 と言いながら、片付け中だったわたしの荷物を、そのままカナが片付けてしまう。

「……え? なんで?」

 水曜日は空手部の日。
 だから、今日はカナの荷物はいつもより多い。今朝、カナはちゃんと道着を準備していたもの。

「ハル、すごく疲れた顔してる」

 カナは心配そうに、わたしの頬に手を触れた。

「早く帰って、身体、休めよう」

「え、でも」

 わたし一人でも身体は休められるし……。それに、確かに怠いけど、いつもに比べて特別という訳ではない。だから、晃太くんのレッスンだって受けるつもりだし……。

 だけど、何か言う前に、カナはスッと二人分の荷物を肩にかけ、わたしに手を差し伸べた。