会話に入る勇気もなくて、勧められるままにティーカップに手を伸ばした。

 ミルクティは程よい温度に冷めていた。お砂糖なしだけど、ほんのりミルクの甘みが感じられてはとても美味しい。お腹の中からぬくもって、ほっこりする。

「ハルさ、入学前に予習してたんだよ、経営学」

「え?」

「予習?」

 カナの言葉にみんなは不思議そうな顔をした。

「いや、頭良いのは昔からそうなんだけど、経営学については、家にすっごいたくさん本があって、入学前から自分で勉強してたから、進みが早いんだと思う」

「入学前に!?」

 一斉にまるで珍獣を見るような目で見られて、思わず身を引く。

 そんなにおかしいかな?

「2月くらいからだったよな?」

 と振られて、

「うん」

 と頷くと、なおさらみんなに驚かれる。

「2月!?」

「……あ、そうなの。わたしたち内部進学で、受験ないし、時間もあったから」

「いや、同じだけ時間あっても、勉強してたのはハルだけだからね?」

 とカナが横から口を挟むと、

「知ってる知ってる。叶太くんは、私たちと同じような課題もらってるしね」

 と柚希ちゃんが言って、みんなが笑った。

「だけどさ、正直なところ、大変じゃない?」

 海堂くんの言葉に首を傾げる。

「大変?」

「いやだって、一人だけ時間かかる難しい宿題出されて、グループワークでも宿題出るようになって、こうやって集まって片付けなきゃならなくなってさ、しんどくない?」

「分かるー。なんで自分だけ難しい問題渡されるのよって、思うよね? 遊ぶ時間もなくなっちゃうじゃんね」

 そう言ったのは美香ちゃん。