「あー、やっぱ、俺も経営学部にしとくんだった!」
「いや、お前、成績が足りなかったんだろ?」
「それは言わない約束だろ!?」
そう言いながら、突っ伏すが半分冗談だと言うのはみんな分かっていて、クスクス笑いが広がる。
気が付くとオレたちの周りに人垣ができて、やたらと盛り上がっていた。
そんな中、
「……えっと、ね、……カナ」
ハルがオレの腕を掴んで、困ったような声を上げる。
さすがに、そろそろ解放してあげなきゃダメかな、とオレは腕の力を緩めた。
ハルがホッと息を吐くのを感じる。いい加減、慣れてくれてもいいのにと思いつつも、これこそハルだよなとも思う。
「にしても、ハルちゃん、いつまでたっても初々しいよね」
女子の言葉に思わず頷く。
「もう、夫婦なのにね?」
と笑いながら、真っ赤な顔をまじまじと覗き込まれて、ハルの目が羞恥からかわずかに潤む。
「はいはい。ハルをいじめないでねー」
オレがそう言って、ハルをもう一度抱き締めると、また場がどっと沸いた。
ハルが小さな声で「もう、やだ……」とつぶやいた。
それから、誰かがオレたちの結婚式の写真を表示したスマホを取り出して、それを見ながら、みんなで盛り上がって、写真繋がりで、その後は、学祭とか遠足とかの行事に話題が移り、気が付くと、チャイムが鳴り、担任が部屋に入ってきて、最後のホームルームが始まった。
講堂の中は少し肌寒くて、ハルが寒くないか心配したけど、ハルは寒さなんかより寂しさを強く感じているようで、式の最初から大きな眼は潤んで揺れていた。
心配で仕方ないけど、席が離れていて手が出せない。
歌をうたう辺りからは、ハルはずっとハンカチを目元に当てていた。
ハルの方ばかり気にしている間に卒業式はつつがなく終わり、ようやく講堂の外で合流。
講堂の中の寒さが嘘のように、外は朝よりもまた少し気温が上がっていて過ごしやすく、雲もほとんど出ていない快晴の日差しはとても暖かかった。
「いや、お前、成績が足りなかったんだろ?」
「それは言わない約束だろ!?」
そう言いながら、突っ伏すが半分冗談だと言うのはみんな分かっていて、クスクス笑いが広がる。
気が付くとオレたちの周りに人垣ができて、やたらと盛り上がっていた。
そんな中、
「……えっと、ね、……カナ」
ハルがオレの腕を掴んで、困ったような声を上げる。
さすがに、そろそろ解放してあげなきゃダメかな、とオレは腕の力を緩めた。
ハルがホッと息を吐くのを感じる。いい加減、慣れてくれてもいいのにと思いつつも、これこそハルだよなとも思う。
「にしても、ハルちゃん、いつまでたっても初々しいよね」
女子の言葉に思わず頷く。
「もう、夫婦なのにね?」
と笑いながら、真っ赤な顔をまじまじと覗き込まれて、ハルの目が羞恥からかわずかに潤む。
「はいはい。ハルをいじめないでねー」
オレがそう言って、ハルをもう一度抱き締めると、また場がどっと沸いた。
ハルが小さな声で「もう、やだ……」とつぶやいた。
それから、誰かがオレたちの結婚式の写真を表示したスマホを取り出して、それを見ながら、みんなで盛り上がって、写真繋がりで、その後は、学祭とか遠足とかの行事に話題が移り、気が付くと、チャイムが鳴り、担任が部屋に入ってきて、最後のホームルームが始まった。
講堂の中は少し肌寒くて、ハルが寒くないか心配したけど、ハルは寒さなんかより寂しさを強く感じているようで、式の最初から大きな眼は潤んで揺れていた。
心配で仕方ないけど、席が離れていて手が出せない。
歌をうたう辺りからは、ハルはずっとハンカチを目元に当てていた。
ハルの方ばかり気にしている間に卒業式はつつがなく終わり、ようやく講堂の外で合流。
講堂の中の寒さが嘘のように、外は朝よりもまた少し気温が上がっていて過ごしやすく、雲もほとんど出ていない快晴の日差しはとても暖かかった。



