一足先に、オレとハルは一緒に登校する。
いつもは夫婦とは言え、オレは車登校禁止を守って自転車で通っていた。
けど、今日くらいは良いだろう?
遠方から通ってるやつだって、親と一緒に車で来たりもするらしいし。親は卒業式が始まるまで大分待つけど、講堂はそんな親のために早くから開けてあるのだそうだ。
「ハル、とうとう卒業だね」
制服を着たハルを見るのは今日が最後。そう思うと、名残惜しくてたまらなくなる。
「ね。……短かったのか長かったのか、なんだかよく分からないんだけど、すごく充実した高校生活だった気がする」
ハルはふっと視線をさまよわせて、表情を曇らせた。
「だからかな、なんか寂しいね」
「ああ。確かに、何となく寂しいな。でもまあ広すぎて近所って気はしないけど、高等部とは隣だし、学部は違っても高校からそのまま上がるヤツもいっぱいいるしね」
「ん、…だよね」
話すともなしに話している内に、車が校舎に到着した。
「お嬢さま、叶太さん、今日は本当におめでとうございます。行ってらっしゃいませ」
運転手さんが笑顔で祝福してくれる。四月からはこことは違う大学側の門から出入りすることになる。朝、ここから入るのはこれで最後だ。
「ありがとうございます。行ってきます」
ハルと二人、口々にお礼を言い、職員用玄関へと向かった。
蛇足だけど、ハルは相変わらずお嬢さまと呼ばれている。大奥さまも奥さまもいる今の状態で、ハルを奥さまと呼ぼうという話は一切なく、結局、ハルもオレも結婚前と変わらない。
いつもは夫婦とは言え、オレは車登校禁止を守って自転車で通っていた。
けど、今日くらいは良いだろう?
遠方から通ってるやつだって、親と一緒に車で来たりもするらしいし。親は卒業式が始まるまで大分待つけど、講堂はそんな親のために早くから開けてあるのだそうだ。
「ハル、とうとう卒業だね」
制服を着たハルを見るのは今日が最後。そう思うと、名残惜しくてたまらなくなる。
「ね。……短かったのか長かったのか、なんだかよく分からないんだけど、すごく充実した高校生活だった気がする」
ハルはふっと視線をさまよわせて、表情を曇らせた。
「だからかな、なんか寂しいね」
「ああ。確かに、何となく寂しいな。でもまあ広すぎて近所って気はしないけど、高等部とは隣だし、学部は違っても高校からそのまま上がるヤツもいっぱいいるしね」
「ん、…だよね」
話すともなしに話している内に、車が校舎に到着した。
「お嬢さま、叶太さん、今日は本当におめでとうございます。行ってらっしゃいませ」
運転手さんが笑顔で祝福してくれる。四月からはこことは違う大学側の門から出入りすることになる。朝、ここから入るのはこれで最後だ。
「ありがとうございます。行ってきます」
ハルと二人、口々にお礼を言い、職員用玄関へと向かった。
蛇足だけど、ハルは相変わらずお嬢さまと呼ばれている。大奥さまも奥さまもいる今の状態で、ハルを奥さまと呼ぼうという話は一切なく、結局、ハルもオレも結婚前と変わらない。