そして、日曜日。

 土曜日にゆっくり身体を休めたおかげで、すっかり体調も元に戻ってくれた。
 朝は少し遅めだけど、7時半には自分で起きて、普通にご飯も食べたし薬も飲んだ。

 まず最初に、木曜日と金曜日の授業のノートをまとめて、カナに送る。とは言え、金曜日の三限目は早退したし、四限目は出られなかったから、後から誰かにノートを借りなくてはいけない。

 メールを送った後、誰にノートを頼もうと考えていると、カナからビデオ通話の着信があった。

 やっとカナの顔が見られると思って、少しばかりウキウキしながら通話ボタンを押すと、開口一番、カナは困ったような顔で、

「ハル! そんな事しなくていいから、身体を休めて?」

 と言った。

 そんな事って言葉に、少しばかり傷つきながらも、きっとカナの心配性は側にいない今、いつもより激しくなっているのだろうと思って、言葉を飲み込む。

「カナ、昨日たっぷり休んだから、わたし、もう本当に元気だよ?」

「だけど、ハル、字がとっても綺麗だし、ノートはすごく分かりやすいし、清書する必要ないんだよ?」

「……練習なの」

「ん?」

「カナのために作ってたけど、これ、練習なの」

「……入力の?」

「入力とか、書類を作ったりとかの」

 カナが困ったように言う。

「ハルがそんなところで無理する事、ないんだよ? 今まで通り、オレがすればいいし」

「でも、みんな自分でやってるでしょう?」

「いや、誰かにやってもらってるヤツもいると思うけど……」

「わたしみたいに?」

「うん。だって、みんながパソコン得意って事もないでしょ。スマホは使いこなしてるだろうけど」