15年目の小さな試練

 ああ、完全に授業の邪魔してる。

 申し訳なくて仕方なくて、居たたまれない思いをしながら、緩慢な動作で席を立つと、田尻さんが支えてくれた。

「……ごめんね」

「気にしない」

「じゃ、俺、荷物持つわ。先、行ってて」

 幸田くんはうっかりしまい忘れたわたしの教科書類を鞄に入れて、教室を出る辺りで追いついてきた。自分の分と田尻さんの分も一緒に持ってるから、結構な量だ。

 ……途中で抜けさせてしまった。

「授業……ごめん、ね」

 少し歩いただけなのに息が切れる。

 謝ると、幸田くんが

「半分寝てたから、全然大丈夫!」

 と即答してくれ、田尻さんも

「あの授業、眠いよね」

 と笑った。

「あのさ、ハルちゃん」

 数メートル歩いたところで声をかけられて足を止める。

「歩くの、しんどいだろ? 俺、おぶってくから乗れよ。田尻、荷物頼むな」

 その言葉とともに、幸田くんは足元に荷物を置いて、わたしたと田尻さんの前に出てしゃがんた。

「了解!」

 田尻さんは置かれた荷物じゃなくて、まずわたしを幸田くんの背に乗せるようにと背中を押した。

「……でも、重いから」

「牧村さんが重かったら、私とかどうなるの。大丈夫だから、そんなの気にしない!」

 半ば強引に、田尻さんはふらつくわたしを幸田くんの背中に乗せる。

「あの…ありがとう。よろしく、お願いします」

 覚悟を決めて、幸田くんの背中に身体を預けて肩に手を回す。

「任せて!」

 幸田くんは危なげない動作でスッと立ち上がった。

「てか、ハルちゃん、マジで軽いんだけど」

「だよね? 心配する必要ないし」

 そうかな……だけど、いくら軽いって言っても、四十キロ近くはあるし、十分重いと思う。

 だけど、正直なところありがたかった。おぶってもらったおかげで、呼吸が大分楽になったから。