ゆっくり休憩したあと、流川くんに家の中を案内してもらうことになった。


1階には、さっきまでいたダイニング、リビング、キッチンがあって、お風呂やトイレもある。
それから、清さんの寝室も。

2階には、私と流川くんの寝室が一室ずつ用意されていた。


「わあっ、すごい……!私の家の部屋より広い」

「はは、喜んでもらえたならよかった。好きに使ってくれていいから」


部屋に入ると、太陽の香りがする。
ベッドはふかふかで、机や棚も用意されていた。

眩しい、とまではいかないけれど、とても明るい部屋。
私の家がちっぽけなものに思えてしまうくらい、素敵な部屋だ。


清さんには頭があがらないな……
感謝していると、トントントンとノックが聞こえる。


「凛月、荷物置いたら散歩しに行かない?」
「行きたい!」


即答すると、流川くんは嬉しそうに笑った。


「じゃあ行こっか、連れて行きたい場所があるんだ」



そう言われてついて行くこと5分。
コテージの裏の森のような場所に、ベンチがぽつんと置いてあった。

2人で座ると少しきしんだ音がして不安になる。
でも。


「ここ涼しいね。なんだか落ち着くな」

「うん。ここさ、小さい頃から"秘密基地だ!"って、お気に入りの場所なんだ」


秘密基地……
確かにそんな感じがする。

人はいないし、緑のなかだし。
きっと、小さい子どもは最高に盛り上がる場所だろうな。


「秘密基地に案内してもらえて嬉しいな、ありがとう」

「どういたしまして。凛月は特別だから」


目が合うと、にこっと微笑んでくれる流川くん。
思えば、隣に座ってもあんまり緊張しなくなったな。

目が合ってもそらさないで話すこともできる。
最初に比べたら、とても仲良くなれた……と思う。

まあ、流川くんはもともとパーソナルスペースの狭い人だったけれど、今は彼のことを少しずつ知ってきているし……

胸を張って友達だって言える。