夜明け3秒前

「そんなに焦んなくても、ちゃんと着れてるよ」


ふふっとおかしそうに笑う彼はかっこよくて、落ち着くどころか焦る一方だ。


「ならよかった！それより待たせちゃってごめんね、早くご飯食べに行こう！」


自分の気持ちを隠すように彼を急かせる。
流川くんは笑いながら私についてきてくれた。


昨日の夜と同じ場所へ行くと、同じ手順でご飯を食べる。
朝ごはんもバイキング形式だけれど、昨日のメニューとはだいぶ違って、軽く食べられる健康的なものばかりだった。


トレーに自分の好きなものをのせていき、席へと戻る。
机には、お味噌汁に焼き鮭、白ご飯……といったふうに、理想の朝ごはんが並んでいた。


いただきます、と手を合わせて食べ始める。
ちらっと目の前を見るけれど、彼と私では食べる量が全然違う。


「昨日も思ったんだけど、流川くん、結構たくさん食べるね」

「ん？そうかな、普通だと思うけど」

「そっかあ……」


食欲がないときはあっても、私は小食じゃないし、朝も特別弱くない。
それでもこんなに違うなんて、不思議だなあ。

流川くんは細いし、とても綺麗な顔をしているけれど、やっぱり男子なんだなあと考える。
もちろん、女性でもたくさん食べる人はいるし、どちらかといったら私もそうだと思うけれど。


男女って、どうしてこんなに身長や筋肉量が違うようにつくられているんだろう。
目の前の彼を見ながら、そんなことを考えていた。