夜明け3秒前

夜ご飯が食べられるバイキング会場は、とても広いところだった。
受付の人に名前を言うと、席へと案内してくれる。


大きな窓から綺麗な夜景が見ることができて驚く。
海は光を反射してキラキラしているけれど、闇に飲まれそうな感じもして少しドキッとする。


バイキングについて説明を受け、2人で料理を取りに行く。
和食も洋食も、デザートもあり、お寿司は目の前で職人さんが握ってくれるらしい。


「わあ、コーンスープがある……！」


まさかあるとは思わなかったから嬉しい。
品ぞろえがとても豊富だけれど、一体どれくらいの人数で料理してくれているんだろう。


ドリンクが置いてあるところに行くと、流川くんが好きな飲み物もあった。


「アイスティーもあるね」

「ここのアイスティー、すげー美味しいよ」

「そうなんだ！私も飲んでみようかな」


会話をしながら、飲み物や料理を自分のトレーにのせていく。
どれも美味しそうでたくさん取りたくなってしまうけれど、少しずつ。


そしてお寿司のコーナーで立ち止まる。
まぐろ、サーモン、いくら、いか……うん、絶対美味しい。


「いらっしゃいお嬢さん、何か握りましょうか」


じっと見ていると、職人さんが声をかけてくれた。
テレビで見たことがある恰好、本物だ……！


まるで、回らない高級のお寿司やさんみたい。