「おそよう、ねぼすけちゃん」
学校に着くと、ちょうど1時間目が終わったところだった。
暑い中走ったせいで、汗が流れる。
教室は休み時間のこともあって騒がしく、寝ている人やご飯を食べてる人もいた。
「……おはよう、麻妃」
私に嫌味を言ってきた女の子は、にししっと意地悪く笑っていた。
悲しいことに私の席は彼女の隣なので、静かに席につく。
「凛月が寝坊なんて初めてじゃん?夜眠れなかったの?」
「……ううん、それが逆でよく眠れたの」
私もびっくりだよ、と付け加えると麻妃は眠れないより全然マシだからいいじゃん、と笑った。
「目覚まし時計セットしてたの?それともあたしが毎朝起こしてあげよっか」
またにししっと笑われて、はっとした。
そっか、アラームをかけて起きる人もいるんだ。
今までそんなに深く眠れなくて、遅くても5時前には目が覚めていたから使おうと思ったこともなかった。
「……ううん、目覚まし時計使ってみるよ。それでも起きられなかったらお願いしようかな」
「そっか。そのときはどんと来な」
いつもと変わらずかっこいい麻妃に、心が温かくなる。
「……うん、ありがとう」
麻妃は急に私の方へ腕を伸ばしたかと思うと、ぽんっと頭を撫でた。
「いいんだよ」
2人でふふっと笑うと、先生が教室の扉を開けて入ってきた。
そして同時に2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。



