「なるほどね、よしよし決めた!凛月に似合って、誰もが振り返っちゃうようなドレス、選んであげる!」

「えっ、それは素材的に無理じゃ……」


思わず否定すると、麻妃は怒って私の腕を引っ張る。


「なーに言ってんの!かわいいんだから自信持ちな」

「いやそんなまさか。みんなにブスって言われるのに……」


そこまで言って、しまったと後悔する。
麻妃はジト目で私を見た。


「……ふーん、それは家族に?」
「……う、うん」


素直に答えると、大きくはあっとため息をつく。


「それこそ嫉妬でしょ、はいはい笑って!行くよ」
「わ、ちょ、ちょっと待って麻妃!」


グイグイと遠慮なく引っ張られて足早になる。
そしたらいつのまにか2人で走っていて、思わず笑ってしまった。


「どこ行くの?」

「駅前のショッピングセンター!あそこなら何でもあるでしょ」


確かにあの大きな建物にはたくさんのお店が入っていて、何でも売っているイメージがある。
ただ問題は。


「ねえ、そこまで3キロくらいあるけどずっと走るの!?」
「別に歩いてもいいけど、凛月が走り出したんじゃん」


楽しそうに笑う麻妃は、全然余裕そうだ。
だけど、私は今の時点でゼエゼエと息が切れている。


「麻妃が引っ張るからだよ!」

「はいはい悪かったって、あはは、全然体力ないじゃん。大丈夫?」


少しずつペースを落として止まる。
暑くて汗がポタポタと地面に落ちた。


「はあっ、はあ……現役モデルと一般人を、比べちゃ、ダメだよ……」


麻妃は、そのスタイルを維持するためにたくさんトレーニングしているだろうし……
比べて私は体育の時間くらいしか運動しない。


「まーたそんなこと言って。でも、楽しかったでしょ?」


にこっと綺麗な顔で微笑まれて、頷く。


「うん、楽しかった!」
「よし、じゃあゆっくり行きますか」


目的地まで、たわいのない話を麻妃の隣でしながら歩いた。