"似た者同士"か、そっか。
その言葉が腑に落ちて、胸にストンと落ちてくる。


私だけじゃなかった。
麻妃も迷いながら、私のそばにいてくれたんだね。


それが嬉しくて、申し訳なくて、ぐちゃぐちゃになる。


「あたし、凛月のとこの家に行ってすごい生意気なこと、凛月のお母さんに言ったことあったじゃん」

「……うん、もちろん覚えてるよ」


この前、流川くんに話した出来事だ。
麻妃はこのときのことを話すとき、生意気だったとか馬鹿だったと言うけれど、私はそう思わない。


その言葉で救われたのに、と伝えても、彼女は信じていない顔でいつも笑う。


「あれね、今思うとほんと何やってんだって思うんだ。余計な火種増やして、あたしのせいであの後とか怒られたでしょ?」

「え?それは……」


素直にうん、なんて言えなくて口ごもる。
こういう場面で答えないのは、Yesと言ってるのと同じだってわかってるからこそ、もっと上手く誤魔化せられるようになりたいのに。


「凛月の顔に痣ができてるのを見たとき、カッとなったよ。許せないって。でもね、凛月に、ずっと前からだから気にしないでいいって聞いたとき、あたしは自分が許せなかった」

「え?」


聞いたことのない本音に驚く。
そんなことを思っていたなんて。


「隣にいたのに気づけなかった。あたしの……大切な友達なのに、何もできなくて、助けてあげられなくて……辛かった。今もね」


切なく笑う彼女に、私は何も言えなかった。


麻妃がそのことについて、そんなに傷ついているなんて知らなかったから。
ううん、考えたことなかったから。


「だからね、凛月。あのとき、バカとか酷いこと言ってごめん。考えなしに突っ走って、火に油を注ぐようなことしてごめん。それから……ずっと隣にいるのに助けてあげられなくて、ごめんね」


ふう、と一息つくと目を閉じる。
そして3秒ほどたったあと目が開くと、ぱちっと視線がぶつかった。


「これからも、あたしのせいで嫌な目に遭うと思う。でも、それでも、あたしは凛月の友達でいたい。隣にいたいの」


こんなに真っ直ぐな言葉、人生で初めてもらったかもしれない。
心が震えて、胸が熱くなる。